「タッチ抜き」であだち充作品を語ります。
1970年にあだち充が活動を初めて今年で50周年。僕、あだち充イベントがあればどこでも行こうと思っております。それくらい大好きなあだち充先生。
そんな50周年を振り返って、いちファンとして5作品をおすすめします。記念グッズとか早く買いたいのだけど、待ち遠してくてとりあえず漫画を個人的に振り返る企画をやってみました。
あだち充作品ですが、「タッチが定番でしょ」と言われないためにも、ファン目線でがっつりランキングしてます。古いファンの方も、最近知った方にもぜひ興味を持ったら読んで頂ければ幸いです。
あだち充作品ランキング!【ファン目線で5作ご紹介】
総合的に判断するとこの順番になったという作品をまとめています。なぜ5作なのかというと、50周年なのでという・・。(50作はあだち充も書いてないので5作にしました)
「あの名作が載ってない」という状況もあるかと思いますが、あの名作すらランキングしないほどあだち充先生の作品は神がかりなものを感じざるを得ません。
ちなみに、「タッチ」は有名すぎるので省きました。あだち充とタッチってイコールで繋がっているようなものなのでw
初恋甲子園
高校野球の王道ストーリーを、そのまま漫画にしている感じです。エースで4番の沢村と、マネージャーの橘の恋愛もの。もちろん、野球のシーンもそれなりにあります。それなりに。
なんだか「はだしのゲン」っぽさを感じざるを得ないんだけど、それくらい昔に描かれている漫画だと思うと納得して読めます。昭和を感じさせるんですよ。もちろんいい意味で!
沢村をフォローするため、彼の生活のために橘も家を出て彼のところで寝泊まりするのだけど。そこらは、ちょっと今どきの高校生でもないぞ!?って話になる気がします。
まだあだち充が、今のような絵になっていないころなので、ある意味で新鮮味を感じて読めるかと。古いマンガって、その古さで敬遠されがちだけど、中身は色あせてないのが本作。
キャッチャー土橋というサブキャラが良いやつで、橘への思いが敗れることになるんですよね。しかも、沢村の家で橘が飯を食ってる場面を見てという。。うう・・心が痛むw
MIX
「タッチ」から約30年後の明青学園を描いた作品。これは実際の野球部なんかでもある話なのですが、過去に強かった名門校も低迷したりしますよね。PL学園とか記憶に新しいですよね。
そのお話を現代版に載せ替えて、義兄弟の二人が、上杉達也らで行ったあの甲子園以来の出場を目指すというドリーム企画。
で、この漫画がまた面白い。リアルタイムにタッチを読んでいなかった世代にも、結果的にタッチを知らせるきっかけになってます。あだち充お得意の、プロモーション活動にもなってますね(笑)
ゲッサンで連載することになったのですが、これはある意味で漫画雑誌の救済をあだち充先生がやってる感もあるところが好きだったりします。
勢いのある漫画家を、低迷している漫画雑誌のブースターにし、そして売上にも貢献しているという。まだ連載中故に、ネタバレを少なくする意味でこんな紹介でごめんなさい。
KATSU!!
「野球漫画の人」で終わらせなかったのは、この作品があったからだと思うんですね。ボクシングをテーマにしているのですが、かなり仕上がっている名作。
主人公・里山活樹と、ヒロイン・水谷香月で「かつき」がタイトルなのですが。ヒロイン香月がめちゃくちゃボクシングに強い子で、この子が軸となって話は広がります。
でもそこは男子と女子の壁がつきまとってきて。彼女はボクシングに女性としての限界があることに苛立っていて、性別差にずっと苦しんでいるわけです。
でも彼女は、サポートする側に周り、夢を託すという夢を見出すところが僕は好きです。ポジティブな意味での引退を、活樹が現れたことで実行できた。そしていい意味で、継続してボクシングに携わる。
この漫画を読み終えた後、ボクシングジムに行きたいなって本気で思いました。さすがに行動力がなくて行ってませんが、フィットネスボクシング(スイッチ)を買いました。面白いですし、ボクシングきついw
クロスゲーム
月島青葉というヒロインの存在感がとてつもないです。主人公は超速球派の投手で、あだち充作品では1~2位を争う逸材なのに。
亡くなってしまう青葉の姉・若葉を通して、主人公・コウと青葉のやり取りが作中で描かれているんですね。お互いに若葉のことを思い遠慮して、だけど若葉がいたからこそ絆が生まれて。
コウが青葉の「姉がいなくなった悲しみ」と「女性だからこそ感じる野球の限界」を受け止めるシーンは、いつ見ても感動もの。その思いを背負って、逆に奮起しているエース像が良いんです。
名シーンがあるとするなら、僕はコウと青葉のキャッチボールシーンを推します。そもそもコウは青葉に憧れて野球を始めているので。その二人が、無言でキャッチボールはしびれる。
ちなみに、ラストの試合はもはや伝説でしょう。読者に委ねることになるんだけど、あの試合のコウの投球内容。言葉で語らず魅せるのがあだち充なんですよ。
H2
やはり野球漫画を描かせると右に出るものはいないということを象徴してしまう本作品。H2は世代によると思いますが、あだち充を代表する作品だと思うんですね。
本編は野球であることに違いはないのだけど、4人の男女の恋愛模様が行き来すること。その描写を、あだち充らしく描いていることに感動すら覚える仕上がりでした。
特に、国見と雨宮の意識し合う関係が、これ以上の踏み込みを見せたら作品が壊れるところまで近づけていて。それでいて、どうなるかわからないというストーリーに落とし込んでいるところ。
僕は古賀ちゃんが大好きで、彼女の純粋な思いを見ていると、胸が締め付けられるような思いになっていました。なんでこんな漫画が描けるんだとしか言えない作品。
ちなみに、ネタバレは描かないけれど、最終的に読者の判断に委ねられるところもまた、あだち充の上手いところになっています。最近も調べたけど、やっぱ議論されてました(笑)
タッチ抜きでも語り告げる漫画家 あだち充
「タッチの人」という先入観は仕方がないのですが、それでもあだち充をそのまま読まずに放置するのは勿体ないです。
漫画界の巨匠って、手塚治とか水木しげるとか。語り継がれている漫画家は多くいますが、僕はあだち充を巨匠ポジションにおいて応援しています。
50周年のイベントも盛大にやってもらいたいなと思うばかり。ぜひぜひ、未読の方はチェックされてみて下さい。